小児の視機能
斜視
弱視
立体視について
心因性視覚障害
1.乳幼児の屈折異常について
Ⅰ.はじめに
ひとの眼球の大きさはいったいどれ位だと思いますか?成人の眼球の直径は約24mmです。これは10円硬貨の大きさとほぼ同じです。新生児の眼球の大きさは直径約16mmです。眼球の重さは成人の眼球は約70グラムで,新生児のそれは成人の約4分の1です。新生児の体重は(3.5kg)は成人(70kg)の体重は約20分の1である事を考えると、新生児の眼球は成人と比較すると、体重より発達が早いといえます。生後2歳の頃には眼球の大きさは約21mmとなっており、成人の眼と比較して約70%であるといわれています。 新生児期における屈折状態は多くは軽度の遠視の場合が認められます。新生児期〜乳幼児期において重要なのは網膜に焦点のあった鮮明な像が結ばれなくてはならないという事です。この焦点のあった網膜像が大脳の視覚中枢に伝達され(視覚中枢は後頭部にあります)、大脳がそれを繰り返し認識する事により、正常な視機能の発達の基礎となります。乳幼児期において屈折異常が存在すると、正常な視機能発達を妨げる事に なります。その中で最も注意しなければならないのは遠視の存在です。軽度の遠視でしたら、乳幼児の豊富な調節力で代償可能であり、問題はありませんが、強い遠視が存在しますと、充分に調節出来ない為、常に網膜上に焦点のあっていない像が結ばれて、結果的に弱視を起こしてしまいます。これは後で述べますが、両眼に遠視が存在すると屈折異常性弱視が発症し、片眼にのみ遠視が存在すると、不同視性弱視を起こします。どちらも小児眼科専門医似よる適切な診断、治療が必要になります。 軽度の遠視の場合には、視力、眼の位置などを観察しながら、眼鏡なしで経過観察する事がありますが、中等度以上の遠視または片眼のみの遠視の場合には矯正眼鏡装用が原則です。 一方近視の方はどうかと言うと、近視は遠視ほど問題にはなりません。近視の場合は遠方の対象物はよく見えなくても、近方の対象物ははっきりと見えます。乳幼児の視力は近見視力より発達するので、多くの場合近視のため、弱視になる事はほとんどありませんが、近視でも強度近視がありますと、やはり近見障害が起こり、軽度の弱視を起こします。 また乱視に関しては、乳幼児では直乱視の形態(屈折異常が垂直方向である)をとる事が多く、水平方向の視力が良好であるので、多くは弱視になりませんが、乱視の度が強い場合、また水平方向の視力が弱い倒乱視の場合には、弱視の発症を防止するため、眼鏡に装用が必要になります。乱視で弱視がおこる場合は経線弱視といいますが、屈折異常性弱視のひとつとしてあつかわれています。
Ⅱ.乳幼児の視機能の発達
乳幼児期において,こどもの正確な視機能評価は、小児期眼疾患の早期発見、早期治療の基本概念より極めて重要なことといえます。こどもの年齢が3歳に達すれば、絵を使った視力測定また字ひとつ視力法により視力測定が可能になる場合がほとんどですが、生後より3歳までの期間は通常の測定方法では無理で、別の特殊な視力評価法に頼らなくてはなりません。 現在、我々が眼科外来において乳幼児の視力測定法として一番多く用いられているのは、Preferential Looking (PL)と呼ばれる方法で す。PL 法では明るさの等しい2つの刺激面、すなわち1つは縞模様を有する面と、もう一方は志摩模様を有しない、何もない面を同時にこどもに見せて、こどもの視反応、つまりこどもがどちらの面を選択する(Prefer)かを分析することにより、視機能を推定するであります。測定方法を簡単に説明しますと、こどもは通常母親のひざの上に座って、母親がPL測定装置の真ん中を見るようにします。PLによる視力の決定はこどもが見る事のできる最も細かいしま模様から計算されます。このPreferential Looking (PL)法を使用して計測された、健常児における生後より3歳までの視力発達の経過について簡単に述べると、生後3ヶ月では0.05-0.1、生後6ヶ月では0.1、生後1歳では0.2、2歳時には0.4-0.5、そして3歳時には1.0の視力に達します。 Preferential Looking (PL)法は比較的に臨床応用が容易ですが、それでも種々の制限があり、すべての眼科診療所で使用する事は出来ません。PL法のより簡便な臨床応用を目的として、開発されたのが、Grating Cardsであります(写真)。Grating Cardsは7枚のカードより構成されており、6枚は0.5mm 〜16mmの異なった太さのしま模様を有し、 残りの一枚はストライプ模様を有しない面です。検者はこどもの前方約50cmの検査距離で、2枚のカード(1枚は縞模様を有するもの、残りの1枚は均一面のもの)を呈示し、児が縞模様を有するカードを選択出来るかどうかという事を調べます。視力の決定はPL法と同じでありその結果はPL法と極めてよく相関することがわかっている。またPL法にない特徴としては、Grating Cardsの呈示する方向を変えることにより、乱視の影響についても調べることができるという点があげられます。こどもの眼は成人の眼の小さいものではなく、生後6歳くらいまでは、正常な視的環境が必要です。もしなんらかの異常が認められたら、すぐに専門家による治療が必要です。異常を見つける為には、3歳検診等の検診を利用する事も重要ですが、数久も注意深くこどもを観察し、何か不敬な点があったら、小児眼科専門医を受診する事が、重要です。
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